アラン

完全なものが反発し合うことはない。

衝突するのは、不完全で不道徳なものだけだ。

行動のない楽しみよりも

行動のある困難を選ぶ。

自由な仕事とは

自分の経験と知識によって調整できる仕事である。

自ら進んで自由に働くのであれば最高だが

そこに自主性がなければ最悪である。

人は自分で考えて行動したいのだ

人に言われて動くのは嫌なものである。

考えることは確かに楽しい

だが考える楽しみは決断する技術があって初めて成り立つ。

よくないことがあっても

それを原因から考え理解できる人は、物事を呪ったり、悲観したりすることはない。

年がら年中勉強を強いると

それだけでだらだら勉強し、下手な勉強の仕方を覚える。

礼儀作法とは

習慣であり一種の自然体である。

思い浮かんだことを衝動的に口出す

感情を抑えられない。感情を自覚すらせず全て表に出す。こういう人は無作法な人である。

狂言的な言動は自信のなさは

自分が信じていることを守れないという不安の産物である。

無作法な人は

自分の感情の入り乱れと、自分に対する不安でおどおどしているのだ。

粗野でせっかちなところが感じられるとしたら

それはすべて無作法である。無作法はいわば脅しのようなものなのである。

愛想や礼儀正しさのおかげで

全てが変わることがよくある。

問題の核心に迫り

理解しなければならない。解決策はその中にある。

期待せずありのままを求める

相手を想い苦しむのは、そうであってほしくないと想い続けるからである。

自分の不幸を話さない

不平不満をこぼすことは、他の人を悲しませるだけで、幸せにすることはできない。あなたが病気になっていることがネタにされ、それを聞いてまた神経が衰弱していく。

最大の敵は自分自身である

鋭い言葉の矢はすべて自分が放ったもので全て自分に返ってくる。

多くの人は味方を作るよりも

自ら敵を育てることばかりに熱心だ。

感情は決まって悪いものである

いつも事実を歪めてしまう。

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アラン

エミール=オーギュスト・シャルティエ(通称アラン、1868年3月3日 – 1951年6月2日)は、フランス・ノルマンディー地方出身の哲学者、エッセイスト、ジャーナリスト、教育者です。エコール・ノルマル・シュペリウールで学び、哲学の教授資格(アグレガシオン)を取得後、各地の高校で教鞭を執りました。1903年から「アラン」の名で新聞や雑誌に日常や社会、教育、倫理についての短い随想「プロポ」を多数発表し、20世紀フランス思想界に大きな影響を与えました。

彼は合理主義的で個人主義的な立場から、思考の自由や市民の責任を重視し、第一次世界大戦では自ら志願兵として従軍しながらも平和主義を貫きました。代表作には『プロポ集』や『幸福論』『教育論』などがあり、レイモン・アロンやシモーヌ・ヴェイユなど多くの著名な弟子を育てました。